当事務所代表弁護士小見山大が千葉県収用委員会会長に就任しました(任期3年)。
千葉県では弁護士が会長に就任するのは37年ぶりとのことです。
1 共同親権制度の導入
離婚後の未成年の子の親権について、これまでは離婚の際には父母のいずれか一方を親権者に決めなければならないとされていました。しかし、民法が改正され、従来通りの「単独親権」のほか、父母の「共同親権」とすることも選択できるようになりました。この改正法は令和8年4月1日から施行される予定です。
2 親権者の決め方
(1)協議離婚する際には、父母の共同親権とするか、それともいずれか一方の単独親権とするかについて、父母の協議により決めることになります。
父母の協議で決めることが難しい場合は、家庭裁判所に離婚調停や親権者指定の調停または審判の申立てを行うことができ、裁判所の手続により親権者が決定されます。
裁判離婚の場合は、家庭裁判所が決定します。
(2)「単独親権」か「共同親権」かは、どちらかが原則でどちらかが例外というものではありません。家庭裁判所は、父母と子との関係や、父と母との関係その他一切の事情を考慮して、子の利益という観点から、共同親権にするか、いずれかの単独親権にするかを決定します。
ただし、次のような場合は、家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。
・父母の一方から子に対する虐待のおそれがある場合
・父母の一方から他方に対するDV(身体的暴力や心身に有害な影響を及ぼす言動)のおそれの有無やその他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき
3 共同親権となった場合の親権の行使方法
(1)親権の内容としては以下のようなものがあります。
ア 子の身上監護
子の居所・転居の決定、進路に影響する進学先の決定、心身に重大な影響を与える医療行為の決定、就労許可等
イ 子の財産管理
預金口座の開設や管理等
ウ 子の身分行為の代理
15歳未満の子についての氏の変更の代理
15歳未満の子についての養子縁組の代諾
(2)共同親権の行使方法
通常、離婚後、子は父母のいずれか一方と生活することになります。そして、共同親権となった場合でも、以下のア~ウについては、父母の一方(通常は同居親)が単独で親権を行使することができます。下記ア~ウ以外の事項については、特に取り決めがない場合、父母が協議して親権を行使することになります。
ア 監護教育に関する日常の行為
日々の生活の中で生じる監護教育に関する行為で子供に重大な影響を与えないものは、父母で協議する必要はありません。
例)食事や服装の決定、習い事、観光目的の短期間の旅行、心身に重大な影響を与えない医療行為、インフルエンザ等通常のワクチン接種、高校生の放課後アルバイトの許可など
イ 子の利益のため急迫の事情があるとき
父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては間に合わず、子の利益を害するおそれがある場合にも、親権の単独行使ができます。
例)緊急の医療行為、入学試験の結果発表後に入学手続の期限が迫っている場合の入学手続、DVや虐待から避難するための転居など
ウ 家庭裁判所が特定の事項について父母の一方を親権行使者として指定した場 合
父母が共同で親権を行使すべき事項(上記ア、イに当たらない場合)について、父母の意見が対立し、親権行使ができない場合、父母のいずれかの申立により、家庭裁判所が当該事項について、父母の一方を親権者行使者に指定することができます。
(3)子の監護者の指定、監護の分掌
共同親権となる場合、親権行使を巡る離婚後のトラブルをできるだけ少なくするため、以下のような方法をとることが考えられます。
ア 子の監護者を定める方法
同居親を子の監護者と定めた場合は、子の身上監護全般について同居親が単独で決定することとなります。別居親は、子の身上監護に関し口を出すことはできません。
この場合、父母が共同で親権を行使するのは、財産管理と身分行為の代理ということになります。
イ 監護の分掌に関する取り決めをする方法
「監護教育に関する日常の行為」以外の身上監護について、特定の事項を父母の一方に委ねると決めたり、父母間の分担方法を定めることができます。
(4)離婚時に共同親権を選択することとなったとしても、前述のとおり、「監護教育に関する日常の行為」は同居親が単独で行うことができますので、些細なこともいちいち離婚した父母間 で協議しなければならないというわけではありません。
ただ、「監護教育に関する日常の行為」以外については、夫婦間の協議が必要となりますので、後々トラブルになることがあらかじめ予想できる事項があれば、離婚時に取り決めをしておいた方がスムーズかもしれません。
そして、共同親権となる場合は、単独親権の場合よりも更に、子の利益という観点から父母は互いの人格を尊重し協力し合わなければならないということを、父母のいずれも念頭に置く必要があります。
父母の離婚後の子の養育に関し、民法等の法律が改正され、令和8年5月までに施行される予定です。その改正の一つとして、子どもの養育費の支払いに関するルールが見直されることになりました。厚生労働省の令和3年度全国ひとり親世帯等調査によれば、養育費の受給率は、母子世帯で28.1%、父子世帯で8.7%にとどまり、実効性のある養育費の確保が課題となっていました。そこで、養育費の支払確保に向けて、民法等の法律が改正されました。
1 差押え手続が容易に
改正前の法律では、離婚の際に父母の間で私的に養育費の取り決めをしていたとしても、その後、別居親が養育費の支払いを怠った場合、公正証書や、家庭裁判所の調停調書、審判書などの債務名義がない限り、別居親の財産を差し押さえることができませんでした。
そこで、今回の改正により、養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与され、上記のような債務名義がなくても、養育費の取り決めの際に父母の間で作成した合意書などの書面に基づいて、差押え手続を申し立てることができるようになりました。先取特権が付与される具体的な養育費の上限額は、今後法務省令で定められますが、子ども1人当たり月額8万円が上限となる見込みです。
なお、改正法施行前に養育費の取り決めがされていた場合には、改正法施行後に生ずる養育費に限って改正法が適用されます。
2 「法定養育費」制度の導入
今回の改正により、離婚の際に養育費の取り決めをしていなくても、別居親に対して「法定養育費」を請求することができるようになりました。具体的な法定養育費の額は、今後法務省令で定められますが、子ども1人当たり月額2万円となる見込みです。
また、法定養育費債権が先取特権となるため、法定養育費の支払がされない場合には、差押え手続を申し立てることができるようになりました。
なお、法定養育費の規定は、改正法施行後に離婚した場合に適用されますので、改正法施行前に離婚した場合には、従来と同様に、父母の協議や家庭裁判所の調停・審判手続により、養育費の額を取り決めることになります。
3 収入情報の開示や執行手続のワンストップ化
家庭裁判所の調停・審判手続では、父母の収入を基礎として、養育費の額を算定することになりますが、収入に関する資料が任意に提出されない場合に、適正な額を算定することが困難となり、手続が長期化することが問題となっていました。
そこで、手続をスムーズに進めるために、今回の改正により、家庭裁判所が当事者に対して収入情報の開示を命じることができるようになりました。
また、養育費を請求したいけれど、別居親の現在の勤務先が分からず、給与債権の差押え手続ができない場合には、改正前の法律では、財産開示手続、第三者からの情報取得手続(市区町村に対し別居親の給与情報の提供を命じる手続)などの手続をそれぞれ申し立てて、別居親の勤務先を調査する必要があり、手続が複雑なため、養育費の回収が容易ではないことが問題となっていました。
そこで、今回の改正により、差押え手続を行う場合には、地方裁判所に対する1回の申立てで、①財産開示手続→②第三者からの情報取得手続→③給与債権の差押え手続という一連の手続をワンストップで行うことができるようになりました。
離婚の際に養育費の取り決めをしていなかったケース、別居親に養育費を請求したが支払を拒否されてしまったケースなどでは、今回の法改正により養育費の支払がスムーズに受けられる可能性がありますので、子どもの養育費が支払われずお困りの方は、専門家にご相談ください。
令和7年4月に当事務所代表小見山大弁護士が関東弁護士会連合会民事介入暴力対策委員会委員長に選任されました(令和4年度から4年目)。
近年、相続登記や住所変更登記が未了であることが原因で、所有者不明の土地・建物が増えています。また、総務省が2023年に実施した「住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は過去最多の900万2000戸(千葉県内の空き家数は39万4000戸)で、空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)は全国で13.8%(千葉県内の空き家率は12.3%)であり、今後も増加する可能性が高いでしょう。他方で、このまま空き家を放置し続けると、ゴミの不法投棄、雑草の繁茂、害虫の発生、建物の倒壊などによって近隣住民に悪影響を及ぼすおそれがありますし、空き地や空き家を活用した公共事業や買取りを希望する民間業者の取引を阻むことにもなります。
このような問題に対処するため、改正民法では、個々の土地・建物の管理に特化した財産管理制度(①所有者不明土地・建物管理制度と②管理不全土地・建物管理制度)が新設され、2023年4月に施行されました。
まず、所有者不明土地・建物管理制度とは、所有者を特定できない土地・建物や、所有者が所在不明となっている土地・建物がある場合に、利害関係人が、土地・建物の所在地を管轄する地方裁判所に申立てを行い、裁判所が、所有者不明土地・建物の管理命令を発令し、管理人を選任する制度です。
利害関係人が申立てを行うことができますが、例えば、公共事業の実施者など不動産の利用・取得を希望する者や、共有地における不明共有者以外の共有者が利害関係人に該当すると考えられます。
所有者不明土地・建物管理人の権限は、原則として土地・建物の保存、利用、改良行為に限られますが、裁判所の許可があれば、土地・建物の売却や取壊しなどの処分行為を行うことも可能なため、この制度の活用によって、公共事業や民間取引の活性化などが期待されます。
次に、管理不全土地・建物管理制度とは、所有者による管理が不適当であることによって、他人の権利・利益が侵害されまたは侵害されるおそれがある場合に、利害関係人が、土地・建物の所在地を管轄する地方裁判所に申立てを行い、裁判所が、管理不全土地・建物管理命令を発令し、管理人を選任する制度です。
ここでいう利害関係人とは、例えば、ひび割れや破損が生じている擁壁を土地所有者が放置しており、隣地に倒壊して被害を受けるおそれがある隣地所有者や、ゴミが不法投棄された土地・建物を所有者が放置しており、臭気や害虫発生による健康被害を受けている近隣住民などが該当すると考えられます。
管理不全土地・建物管理人の権限は、原則として土地・建物の保存、利用、改良行為に限られ、土地・建物の処分を行う場合には、所有者の同意が必要となります。
この制度の活用によって、ひび割れや破損が生じている擁壁の補修工事やゴミの撤去・害虫の駆除を管理人が行うことができ、周辺の環境改善にもつながります。
なお、区分所有建物については、所有者不明建物管理制度と管理不全建物管理制度のいずれも適用されないため、分譲マンションなどの区分所有建物の専有部分及び共用部分について、管理命令を発令できないことには注意が必要です。
所有者不明の土地・建物や管理不全状態の土地・建物についてお困りの方は、専門家にご相談ください。
Q1 父の認知症が進行し、父自身が財産管理することができなくなってしまったため、専門家に財産管理を任せることを考えています。どのような制度を使えば良いでしょうか?
A1 法定後見制度の活用が考えられます。
財産管理や身上監護について、判断能力が不十分になった場合に保護・支援するための制度が成年後見制度です。これには、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。
法定後見:本人が判断能力を欠いた後に、成年後見人が本人を法律的に支援する制度です(※)。
任意後見:本人の判断能力が十分な時に、あらかじめ、任意後見人や委任する事務の内容を契約で定めておき、本人の判断能力が不十分になった後に、任意後見人が委任された事務を本人に代わって行う制度です。
※保佐人、補助人といった要件・内容等の異なる制度もあります。
Q1の場合には、既に判断能力を欠いている状況であり、法定後見制度の活用が考えられます。
Q2 成年後見制度を利用するには、どのような手続が必要になりますか?
A2 法定後見の場合、本人、配偶者、4親等内の親族等が家庭裁判所に後見等の開始の申立てを行い、裁判所により後見人が選任されることで、法定後見が開始します。
なお、任意後見の場合には、本人、配偶者、4親等内の親族、任意後見人の予定者等が公正証書により任意後見契約を締結します。その後、本人の判断能力が低下した際に、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立て、家庭裁判所により選任されることで、任意後見が開始します。
Q3 後見人にはどの範囲の財産管理を任せられますか?
A3 法定後見の場合、財産に関するすべての法律行為の代理権を有するため、包括的な財産管理が可能になります。
なお、任意後見の場合には、契約で定めた範囲の代理権を有するため、本人の状況や希望に合わせて代理権の範囲を定めることができます。
Q4 父の後見が開始した後、父の財産についてトラブルが生じ、相手方から訴訟を提起されました。後見人が本人に代わって訴訟に応じることになりますか?
A4 法定後見の場合、法定代理権を有するため、訴訟行為を代理することができます。
任意後見:基本的に法定代理権がなく、訴訟行為を代理できません(※)。
※本人から訴訟委任を受けた弁護士である任意後見人であれば、訴訟代理が可能です。
このように、法定後見と任意後見では、手続きや内容に違いがあるため、本人の状況に応じた制度を選択することが必要になります。また、紛争が生じた場合の対応にも違いが生じるため、本人の財産についてトラブルが生じた場合の備えも検討しておくことがお勧めです。
令和6年3月1日から、戸籍法の一部を改正する法律(令和元年法律第17号)が施行され、戸籍の取得や戸籍届出が本籍地以外でもできるようになりました。
1 戸籍証明等の広域交付
戸籍謄本を取ろうとする時、本籍地が遠くにある場合、本改正前は、本籍地のある市
区町村で取るか、郵送での取り寄せをする等し、取り寄せにも時間がかかるなどしてい
ましたが、改正後は、本籍地以外の市区町村のどこでも取り寄せが可能となりましたの
で、自宅近くや勤務先近くの市区町村の窓口で、手軽に遠方の本籍地の戸籍証明書・除
籍証明書の入手が可能となりました。
ただし、コンピューター化されていない一部の戸籍・除籍や、一部事項証明書、個人
事項証明書は請求できません。また、請求できる方は本人、配偶者、父母、祖父母など
の直系尊属、子、孫等の直系卑属となります。また、郵送や代理人による請求はできな
いので、請求できる方が窓口で申請する必要はあります。
2 戸籍届時の戸籍謄本の添付が不要
本改正前は、例えば、旅先や記念となる地で愛が燃え上がり、近くの市区町村で婚姻
届をすぐ出したい!と思っても、その場所が本籍地と異なる場合には、本籍地から取り
寄せた戸籍謄本と一緒に婚姻届を提出する必要があったので、その場での届出を断念し、
戸籍謄本の取り寄せしているうちにタイミングを逃し、未来の伴侶も逃げてしまった、
なんてこともあったかもしれませんが、改正により、本籍地以外の市区町村で婚姻届出
を提出する場合にも、戸籍謄本の添付は原則不要になりました。
戸籍謄本添付の原則不要は、戸籍届出についてはこれに該当しますので、離婚届、養
子縁組届、養子離縁届、入籍届、転籍届、分籍届などを提出する場合にも添付が原則不
要となります。離婚届については、調停離婚や裁判離婚の場合、調停の成立や裁判の確
定から10日以内は市区町村への届出が必要となるところ、改正前は、遠方の本籍地か
ら戸籍謄本の取り寄せに時間がかかり、提出期限を過ぎてしまうというようなリスクも
ありましたが、本改正により、早期に提出がしやすくなったといえます。
とはいえ、届出時には本籍の記載は必要となるため、ご自身で本籍を把握しておくこ
とは必要です。
住所地の市区町村で戸籍届出をされる場合には、本籍については、住民票(本籍地あ
るもの)を申請して調べることも可能です。
1 婚姻をするとどちらか一方の配偶者の苗字(氏)を名乗ることになります。多くの夫婦において、妻が夫の氏を称することになることから、以下では婚姻時に妻が夫の氏を称するケースで説明をします。(夫が妻の姓を称している場合、夫と妻を入れ替えても同じです。)
2 夫婦の苗字
離婚をすると、婚姻時に苗字を変更した妻は、婚姻前の苗字に戻ります(民法767条1項)。原則として、婚姻前の戸籍に戻ることになります。しかし、婚姻前の戸籍が妻の両親が共に死亡している等で除籍となっている場合、婚姻前の戸籍に戻ることができないので、新戸籍を編製することになります。また、妻が新戸籍の編製を申し出た場合も新戸籍が編製されます。子どもがいる場合に、子どもを妻と一緒の戸籍にしようと考えているときは、妻が従前の戸籍に戻るのではなく、新戸籍の編製をすると良いです。戸籍は夫婦及び子どもごとに編成されるため、妻の親と子どもが同じ戸籍に入ることはできず新戸籍の編製が必要になるからです。
もっとも、当然に婚姻前の苗字に復氏するとなると、妻がこれまでの社会生活で築き上げてきたものに諸々の不都合が生じること(例えば、婚姻時の氏名で働いて得てきた信用、名声が復氏によって失われてしまう可能性や預貯金、クレジットカード等の名義変更をすべて行わなくてはならない等)から、離婚の日から3か月以内に離婚の際に称していた氏を称する届出をすることにより、婚姻時の苗字を名乗り続けることができます(婚氏続称。民法767条2項)。
離婚の日から3か月を経過した後に苗字を変更しようとする場合、「氏の変更許可申立て」を行う必要があり、やむを得ない事由がなければ苗字の変更は認められません(戸籍法107条1項)。苗字を変更するためのハードルは高くなりますので、婚氏を続称するかどうかは慎重に検討してください。
離婚時に婚氏続称を選択し、その後、婚姻前の苗字への変更を求めて氏の変更許可申立てを行った場合、離婚の場合には復氏するのが原則であることから、日時の経過によって婚氏が離婚後の呼称として社会的に定着している場合を除き、戸籍法107条1項のやむを得ない事由の解釈は、通常の氏の変更の場合よりも緩和されます(大阪高決昭和52年12月21日)。
なお、婚姻時に苗字が変わっていない夫は、離婚をしても苗字は変わりません。
3 子どもの苗字
離婚時に未成年の子どもがいる場合、子どもの親権者をどちらにするかを決めますが、妻が子どもの親権者となったとしても、子どもの戸籍は手続をしなければ夫の戸籍のままとなり、妻が復氏をしても子どもは夫の苗字のままとなります。夫の戸籍にいる子どもの欄に親権者が妻であることが記載されることになります。
子どもの苗字を妻の苗字に変更したい場合、「子の氏の変更許可申立て」(民法791条1項)をする必要があります。子どもが15歳以上である場合には子ども自身が、子どもが15歳未満である場合は法定代理人である親権者が申立てを行うことができます(民法791条3項)。
子どもの苗字の変更が認められるかどうかは、子どもの苗字の変更が子どもの福祉に適うものかどうかという観点から審理されます。夫婦が離婚して妻が婚姻前の苗字に戻り、かつ、子どもの親権者となった場合に、子どもを妻の苗字に変更しようと子の氏の変更の申立てを行ったときは、子どもの苗字の変更が認められるケースがほとんどです。
婚氏続称を選択した場合、妻は夫と同じ苗字の呼称であっても、夫とは別の戸籍になります。子どもの親権者が妻となった場合でも、子どもは夫の戸籍のままとなりますので、妻の戸籍に移したい場合には、子の氏の変更許可申立ての手続を行い、妻の戸籍に移す必要があります。
以上
労働基準法施行規則が改正され、2024年4月1日から施行されました(労働基準法施行規則第5条第1項第1号の3)。
この改正された施行規則の条項は、労働基準法第15条1項が定めている「労働契約締結の際に雇用主から労働者に明示すべき事項」について、明示事項の内容を詳しく定めているものです。具体的な改正箇所は、従前は「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」について、就業当初の内容のみ明示すれば足りていたところ、改正後は、これらの「変更の範囲」についても明示する必要があることとなりました。
「変更の範囲」とは、今後の見込みも含めた変更の可能性がある事項を指しますので、配置転換先や在籍出向先の就業場所や業務内容についても含まれます。また、いわゆるテレワークを活用することが想定される場合も、「労働者の自宅」あるいは「サテライトオフィス」などを就業場所の変更の範囲として明示することになります。
これはいわゆる、「労働条件の明示事項の拡大」として、2024年4月1日以降に労働契約を締結し、または契約更新をする労働者が対象となります。そして、労働者であればすべての労働者が対象となりますので、正社員だけでなく、パート・アルバイト、契約社員、派遣労働者、定年後の再雇用対象者についても、変更の範囲の明示が必要となります。
明示の方法は、原則として書面によることとされていて、労働条件通知書を交付する方法でも良いし、労働契約書中に明示事項が記載されていれば、労働契約書とは別途、労働条件通知書を交付する必要はありません。
施行日の直前には、新たな明示ルールに関する法律相談が多く寄せられていましたが、最近になって、顧問先の会社担当者などから、「既に雇用している労働者から、法律が改正されているのに、きちんと変更の範囲を明示してもらっていないと言われた。」という話をよく聞くようになりました。
前述のとおり、今回の改正は、2024年4月1日以降に締結または更新される労働契約について適用されるものですから、既に雇用されている労働者に対しては、改めて変更の範囲について労働条件を明示する必要はありません。契約の始期が2024年4月1日以降であっても、契約の締結が2024年3月以前であれば、同様に、新たな明示ルールの適用はありません(令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ &Aの1「新たな明示ルールの適用時期・対象者について」)。
もっとも、仮に就業規則で雇用主による配置転換や在籍型出向の命令権が定められていたとしても、労働者の理解を深めてトラブルを回避することは、労使双方にメリットがあります。
前記のような話が労働者側からなされた場合には、改正の適用外だと説明するだけではなく、積極的に労使間でコミュニケーションをとり、相互の認識を共有することを検討した方が良い場合もあると思われます。
労働者との労働トラブル、労働契約にまつわるご相談についても、弁護士までご相談ください。
以 上
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