取扱業務-離婚問題離婚問題に関する弁護士相談事例をご紹介します。

離婚時の財産分与と退職金

相談内容

私は夫(現在47歳)と結婚して、20年になります。しかし、夫婦関係はずいぶん前から冷え切っていて、最近、夫から離婚の話が切り出されました。私としては、子どもも成人したので離婚して自由に生活をしたいと考えていて、離婚に応じようと思っています。離婚に当たっての財産分与について話合いをしたのですが、預貯金は2分の1ずつ分けることで合意ができたのですが、夫が勤めている会社からの退職金について協議が調いません。夫は、退職するのは10年以上先だから分与の対象にならないと言って譲りません。退職金は財産分与の対象にならないのでしょうか。

結果・回答

退職金は、勤務先を退職した時に給付されるもので、社会状況や経済状況、勤務先の会社の業績等に大きく左右されるため、将来給付されるかどうか、給付される金額がいくらかを予測することは困難です。また、退職金の支給額に婚姻関係がどの程度寄与していたかを算定するのも難しい問題です。そのため、近い将来に退職した際の退職金の金額が分かる場合、退職金を財産分与の対象とするのが実務の取り扱いです。財産分与の対象となるのは、退職金の金額を勤務期間で割り、婚姻期間を乗じることによって算定する方法が多く取られています。あなたの場合、夫の勤務期間が25年だとして、婚姻期間が20年で算定すると、退職金の試算額の8割(退職金試算額÷25×20=退職金試算額×0.8)を財産分与の対象とすることができます。

 この退職金の分に関する支払時期については、いつにしなければならないという決まりはないので、両当事者の合意で決めることができます。退職後、一定の期間経過後に支払うという合意も有効です。どのように払ってもらうかもきちんと話し合いましょう。

※朝日まつど新聞 平成30年5月号掲載