取扱業務-その他法律問題その他法律問題に関するご相談事例をご紹介します。

海外に住む人との不動産取引

相談内容

この度、家を建てるために土地を購入しようと考え、希望する周辺の不動産会社を探し回り、売りに出されている土地を見つけ、売買の交渉に入りました。

売主の方は、数年前から海外で仕事をしており、当分帰ってくる予定がないため土地を使う予定もないことから売りに出したとのことでした。

海外に住む方との不動産取引なので、何か注意することがないか、相談に来ました。

結果・回答

日本国外に住んでいる方は、所得税法上、「非居住者」と定義されています。非居住者とは、居住者以外の個人のことをいいます。「居住者」とは、日本国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます(所得税法第2条第1項第3号、同5号)。非居住者は、日本国内の財産の譲渡や所得に対して、日本の所得税を支払う義務があります(同法第5条)。

所得税法上の非居住者に該当する人との取引では、一定の場合に買主に源泉徴収義務が課されています(同法第212条第1項)。源泉徴収が必要ない場合は、①買主が個人であること、②買主本人または買主の親族の居住用目的であること、③土地の代金が1億円以下であることの3点をいずれも満たしている場合、源泉徴収を行う必要はありません。

ご相談のケースでは、まだ土地の売買代金が決まっていないようですが、上記の条件のうち、①と②は満たしていると思いますので、売買代金が1億円以下なら源泉徴収義務はありません。しかし、1億円を超える場合、源泉徴収義務があり、これを忘れて代金全額を支払った場合でも、税務署に納付する義務は買主側にありますので、注意をしてください。