1 親子交流制度の導入
かつては、離婚後、親権者または監護者にならなかった一方親が、子供に面会したり、一緒に時間を過ごしたり、連絡を取り合うことを「面会交流」と呼んでいました。しかし、令和8年4月1日に施行された改正民法では「面会交流」は「親子交流」に改められました。「面会」という言葉からは、短時間の交流というニュアンスが強く出てしまうところ、本来親子の交流は一方親の下に宿泊を伴う滞在をしたり、SNS上での交流をしたりなど様々な形態が考えられるからです。しかし、親子交流の実現に向けた法的見直しは単に制度の名前が変わったことにとどまりません。
2 婚姻中別居の場合の親子交流
「面会交流」はあくまでも離婚後の親子の交流を認めたものであり、婚姻中別居の場合の親子の交流については定められていませんでした。しかし改正民法では、婚姻中別居の場合の親子交流を明文で定めました。
婚姻中別居の場合の親子交流のルールは以下のとおりです。
①婚姻中別居の場合の親子交流について必要な事項は、父母の協議で定める。
②①の協議が整わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所の審判等によって定める。
③家庭裁判所は、必要があるときは、父母の協議や審判等の定めを変更することができる。
④親子交流については子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
3 父母以外の親族との交流
「面会交流」は子と父または母の交流について定めた制度でした。しかし、改正民法では、父母が離婚しているか否かに関わらず、家庭裁判所が審判等において、家庭裁判所が「子の利益のため特に必要があると認めるとき」は父母以外の親族と子との交流を認めることが明文で定められました。
ただし、「子の利益のため特に必要があると認めるとき」とは、子の不安定な心理状態を回復させ、健全な成長を促し、子の自立を助けることにつながる場合(例:祖父母が多忙な父母に代わって、現実に子を育てていたような場合)を指すと考えられており、現実には、「子の利益のため特に必要がある」となかなか認められない可能性があります。
そして、父母以外の子の親族も子との交流について家庭裁判所に審判の請求をすることができます。ただし、「当該親族と子との交流についての定めをするため他に適当な方法」がない場合に限られます。(例:父母の一方の死亡や行方不明等の場合)
また、子の直系尊属(例:祖父母)及び兄弟姉妹以外の者については、過去に当該子を監護していた者に限って審判の請求ができる点にも注意が必要です。
4 試行的親子交流の実施
試行的親子交流とは、試験的に親子交流を実施し、その結果を裁判所が把握することによって、より適切な親子交流の形態を模索する制度です。
「面会交流」の下では、運用上、審判の途中で家庭裁判所内等において試行的に面会交流が行われてきましたが、令和8年4月1日施行の改正家事事件手続法では、親子交流の試行的実施ができることが明文で定められましたので、今後は試行的親子交流を積極的に活用することが期待されます。
父母以外の親族で子との交流を拒否されてしまったケース、別居親に子との交流を拒否されてしまったケースなどでは、今回の法改正により、子との親子交流ができるようになる可能性がありますので、子供とお会いできずお困りの方は、専門家にご相談ください。
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