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裁判手続等への出頭ができない場合

相談内容

 私は、夫と結婚し、実家のある沖縄県から、夫の職場の近くになる東京都に引っ越してきました。夫との生活が上手くいかず、別居して実家に戻り、離婚の話をしようとしているのですが、調停を起こすと毎回出席しなければならないのでしょうか。また、裁判になることも予想されるのですが、その場合でも毎回出席しないと駄目でしょうか。

結果・回答

 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てなければなりません(家事事件手続法245条1項)。したがって、沖縄県の実家に戻った後、調停を申し立てる場合、東京家庭裁判所に離婚調停を申し立てる必要があります。遠隔地に居住していて裁判所への出頭が困難な場合、電話会議で調停を行うことができます(同法258条1項、54条)。もっとも、離婚または離縁の調停事件では電話会議によって調停を成立させることはできないため(同法268条3項)、調停成立の場合は裁判所への出頭が必要になります。不成立の場合は、出頭不要です。
 離婚の裁判は、当事者の住所地を管轄する家庭裁判所に提訴できます(人事訴訟法4条1項)ので、別居後に那覇家庭裁判所に提訴することができます。もっとも、夫側から東京家庭裁判所に離婚の裁判を提訴できますので、移送が認められなければ東京で裁判を進めることになります。この場合でも電話会議によることができます(民事訴訟法170条3項)。ただし、訴訟の場合は、どちらか一方が出席しなければなりません(同項但書)。また、証人尋問、当事者尋問は電話会議によって行うことはできませんので、裁判所に出頭せずに判決をもらうことは難しいでしょう。
 以上のように、遠隔地に居住する等で裁判に出頭できなくても、手続を進められるよう法律に規定があります。

※朝日まつど新聞 平成29年1月号掲載