娘の運動会を映像で残しておこうと思い、インターネットオークションで中古のビデオカメラを購入しました。代金を振り込み、ビデオカメラが送られてきたのですが、動作確認をしたところ、機器の不具合で録画ができませんでした。出品者に連絡したところ、商品の説明に「ノークレームノーリターンでお願いします。返品や苦情は一切受け付けません。」と書いてあったことを根拠に返品に応じてもらえません。このまま泣き寝入りするしかないでしょうか。
インターネットオークションの取引は売買契約に当たります。新品の商品であれば完全履行請求権(完全な物を引き渡すか、瑕疵を修補するよう請求できる権利)があるため、請求に応じてもらえない場合、債務不履行を理由に解除することができます。これに対し、中古品は不特定物売買と考えられているため、売買の目的物に瑕疵があった場合、瑕疵担保責任(民法570条)を追及することになります。今回の場合は、瑕疵担保責任を追及することになります。
売主の瑕疵担保責任を免除する特約を契約内容に盛り込んだ場合、その特約は有効となり(同法572条)、買主は瑕疵担保責任を追及することはできません。ただし、瑕疵担保責任を免除する特約は、売主が知りながら買主に告げなかった事実については、責任を免れることはできません(同条)。
今回の場合において、商品の説明において「ノークレームノーリターン」と記載されていたことから、瑕疵担保免除特約があったものと認められるでしょう。したがって、出品者がビデオカメラの不具合を知っていたことを立証して、売買契約の解除をする必要があります。
※朝日まつど新聞 平成29年9月号掲載
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