取扱業務-離婚問題離婚問題に関する弁護士相談事例をご紹介します。

親子関係をめぐる争い

相談内容

 私には妻がいますが、もう別居して何年か経っています。離婚についての話し合いがまとまらないため、離婚調停を起こしているのですが、妻は1年半前に子どもを生んでいます。別居して数年経っているので、私の子どもでないことは明らかなのに、法律上は私の子どもになると言われたのですが、血が繋がっていなくても法律上は親子になってしまうのでしょうか。

結果・回答

 婚姻の成立から200日経過後、離婚後300日以内に生まれた子どもは、父の子と推定されます(民法772条2項、1項。推定される嫡出子)。そのため、あなたの場合、生まれてきた子どもはあなたの子どもと推定され、妻が出生届を提出するとあなたの戸籍に嫡出子として入籍します。推定される嫡出子との父子関係を争うには、嫡出否認の訴えを起こさなければなりません(民法775条)。この訴えは、夫が子どもの出生を知ったときから1年以内に提起しなければなりません。1年を経過している場合、父子関係を争うことができなくなります。DNA鑑定で血の繋がりがないことが証明できても変わりません。

もっとも、妻の懐胎当時、父母が別居していた等の妻が夫の子どもを懐胎しないことが外観上明白な事実があれば、推定の及ばない嫡出子となります。この場合、父子関係を否認する手続は、親子関係不存在確認の訴えになります。親子関係不存在確認の訴えに提訴期限はないので、いつでも提訴できます。

いずれの訴訟を提起する場合でも、人事に関する訴訟事件ですので、調停前置主義(家事事件手続法257条1項)が適用されるため、訴訟を提起しても調停に付されることになります。調停で合意ができれば合意に相当する審判をもらい、合意ができなければ判決により、親子関係が存在しないことが確定します。