取扱業務-離婚問題離婚問題に関する弁護士相談事例をご紹介します。

婚約破棄

相談内容

 私には、交際して2年になる彼がおり、先日、その彼から結婚を申し込まれ、婚約をしました。婚約といっても、2人の間で結婚をしようと約束しただけで、結納や結婚式場の予約はしていないですし、両家のご両親へのあいさつもきちんとはしていません。婚約をした後に、ふとしたきっかけで、彼に離婚歴があることが分かりました。それだけでなく前妻との間には子どもが一人いるそうです。離婚の原因は、彼の度重なる浮気が原因だと聞きました。

 私は、彼から今まで交際した女性はいないと聞いていたのに、離婚歴があること等を聞いて、また嘘をつかれるのではないか、私と結婚しても浮気をするのではないか、と心配になり、彼と結婚をする気になれず、婚約を破棄しようと思います。その場合、彼から慰謝料等を請求されるのでしょうか。

結果・回答

 婚約の成立については、法律に規定はなく、裁判上は当事者間において将来結婚することを約束することで成立するものとされています。恋愛関係にある男女間の単なる口約束だけで婚約が成立したと認められることは少なく、結納を交わした等の客観的事情がないと法的保護の対象となる婚約と認められないことが多いです。もっとも、結納等をしていなくても他の諸事情から婚約の意思が推認できれば婚約の成立が認められます。あなたの場合では、法的保護の対象となる婚約の成立が認められない可能性もあります。

 仮に法的保護の対象となる婚約の成立が認められるとして、婚約破棄の正当な理由があるかどうかですが、裁判例では婚姻生活を維持していくことが困難な事情があれば正当な理由を認めています。ご質問のケースでは、男性から自身の身上や女性関係について嘘を言われていることから、婚約破棄の正当な理由が認められる可能性があると思われます。

※朝日まつど新聞 平成27年10月号掲載