昨今,様々な理由から経済的に困窮し,生活保護や自己破産を考えている方がいらっしゃると思います。
今回は主に,生活保護と自己破産の関係について,Q&A方式で紹介していきます。
Q1 以前,多額の借金があったので自己破産をしました。その後,病気によって働けなくなり,収入が減ったため,生活保護の受給も考えています。
ただ,過去に自己破産していたら生活保護は受けられないのではないかと心配です。
A1 生活保護を受ける要件は,生活保護法という法律の4条に定められています。
その要件の中に,「自己破産をしていないこと」といった要件は定められていません。
したがって,過去に自己破産をしていても,生活保護を受けることは可能です。
Q2 現在借金があり,病気のため働けず収入もないので,生活保護と自己破産を考えています。
ただ,「借金がある状態で,生活保護は受けられない」と聞いたことがあります。
どうしたらいいのでしょうか。
A2 たしかに,生活保護の趣旨は最低限度の生活の保障なので,生活保護費から借金を返済していくことは望ましいといえません。
しかし,生活保護の手続きと自己破産の手続きを同時に行うことが規制されているわけではありません。したがって,両者の手続を並行して行うことは可能です。
後のQ&Aで述べるように,生活保護を受けてから自己破産を行う方が,法テラスの立替金の返還の免除がうけられるため,自己破産における費用面の負担が少なくすみます。
Q3 生活保護の手続と自己破産の手続きを並行して行えることはわかりました。
ただ,自己破産をするためにも費用がかかりますよね。生活保護が認められても,その費用を準備することが難しいのですが,どうしたらいいのでしょうか。
A3 法テラスの援助制度(費用の立替払い)を利用して自己破産をすることが考えられます。
立替払いなので,本来,立替金を返還していかなければなりません。
しかし,生活保護を受けている場合,援助終結まで立替費用の返済を猶予されます。
その上で,自己破産の手続終了後も生活保護を受けているのであれば,申請を行うことにより,通常,立替払い金の返還が免除されます。
また,生活保護を受けていない場合,自己破産のために裁判所に納付する予納金は立替金の対象にはなりませんが,生活保護を受けている場合は,予納金も立替金の対象となります。
以上をまとめると,次の通りです。
・過去,自己破産した方でも,生活保護を受けることはできる。
・生活保護と自己破産の手続きは,並行して行うことができる。
・生活保護の申請に困ったら弁護士に相談できる。
・自己破産の手続費用の捻出が難しい場合,法テラスが利用できる。
・生活保護を受けている場合,法テラスの立替金返還は免除となる。
ユーカリ総合法律事務所では,経験豊富な弁護士が生活保護・自己破産についてご相談を承っております。
とりあえず弁護士に相談してみて,方針が決まってから法テラスを利用する,といった方法もありますので,お気軽にお問い合わせください。
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