取扱業務-離婚問題離婚問題に関する弁護士相談事例をご紹介します。

元妻の再婚と養育費

相談内容

私は、2年前に離婚しました。元妻との間には現在5歳の長男がいます。長男は、元妻が親権者になり、元妻と一緒に生活しています。私は、毎月5万円の養育費を支払うことを約束し、支払いを続けています。

ところが、元妻が最近、再婚をするらしいと共通の知り合いから聞きました。長男と再婚相手との養子縁組も考えているそうです。

離婚したとはいえ長男の父親は私だと思っています。養子縁組をするのに実の父親である私の意見は聞いてもらえないのでしょうか。元妻が再婚して養子縁組がされても養育費の支払いは続けなければいけないのでしょうか。

結果・回答

15歳未満の子と養子縁組をする場合には、法定代理人が養子となる子に代わって縁組の承諾をすることができます(民法797条1項)。法定代理人とは別に養子となる者の父母でその監護すべき者がいる場合は、その父母の同意が必要とされています(同条2項)。

あなたの場合、元妻が単独親権者で、あなたが監護権者となっていないので、元妻の承諾だけで長男の縁組をすることができてしまいます。

養育費の支払いについてですが、養子縁組がされても親子関係はなくなりませんので、あなたが長男の父親であることに変わりはありません。父親である以上、長男の扶養義務を負います(民法877条1項)。したがって、扶養義務の一環である養育費の支払い義務がなくなるわけではありません。もっとも、元妻の再婚相手に十分な収入がある場合、養育費の減額を求めることも可能です。まずは元妻との間で協議をして減額を求めてみましょう。元妻が減額に応じてくれない場合は、家庭裁判所に養育費減額の調停を申し立て、調停で合意ができれば合意した金額を支払うことになります。調停で合意できなければ審判に移行し、家庭裁判所がすべての事情を考慮して養育費の金額を決めることになります。

 ※朝日まつど新聞 平成27年6月号掲載