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成年年齢引下げで変わること,変わらないこと

2022.05.30掲載スタッフブログ

民法の改正により,202241日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。成年年齢の引下げで,日常生活にどのような変化があるのでしょうか?

 

Q1.いつから成年年齢が18歳になりますか?

A1.成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする改正民法が202241日に施行されました。民法の改正により,例えば,200451日生まれの方は,202251日の18歳の誕生日に成年となります。また,200242日生まれから200441日生まれまでの方は,202241日に成年となります。

 

Q2.成年になると,未成年者のときと何が変わるのでしょうか?

A2.成年になると,親の同意を得なくても,一人で様々な契約ができるようになります。例えば,携帯電話の契約をする,クレジットカードを作る,一人暮らしをするためにアパートを借りる,高額な商品を買うときにローンを組む,などが一人でできるようになります。また,成年になると,父母の親権に服さなくなるので,自分が住む場所や,進学先・就職先を一人で決めることができるようになります。

 

Q3.お酒やたばこも18歳になったら解禁されるのですか?

A3.お酒やたばこについては,健康面の影響から,これまでと変わらず20歳になってから解禁となります。また,競馬や競輪などのギャンブルについても,ギャンブル依存症対策の観点から,これまでと変わらず20歳になってからできます。

 

Q4.成年になって一人で契約する際に注意すべきことはありますか?

A4.未成年者が親の同意を得ずに契約をした場合は,民法上,未成年者取消権があり,契約の取消しをすることができます。しかし,成年になると,この取消権がないため,一度契約をしてしまうと,原則として契約を取り消すことができなくなってしまいます。例えば,①絶対に儲かると言われ,高額の投資をしてしまったが,結局お金が返ってこなかった,②エステの無料体験を案内され,勧誘を断り切れずにそのまま高額のエステ契約を結んでしまったが,支払ができなくなり債務が残ってしまった,などという契約トラブルが増加する可能性があります。そのため,一人で契約をする場合には,信頼できる人に相談するなどして,契約するかどうか慎重に検討する必要があるでしょう。

 

Q5.これまでに取り決めた養育費は,子どもが18歳になると支払いが終了してしまうのでしょうか?

A5. 子どもの養育費について,公正証書や調停調書などで「子が成年に達するまで養育費を支払う」などのような取決めがなされていた場合,今後,子どもが18歳になると養育費の支払いが終了してしまうのではないかとも思われます。しかし,そもそも養育費とは,未成熟子,すなわち自己の資産又は労力で生活できる能力のない者に対して支払われるものであり,子どもが18歳になったとしても経済的な自立が期待できない状況であれば,引き続き養育費の支払義務を負うと考えられます。そのため,成年年齢が18歳に引き下げられたことで,当然に養育費の支払の終了時期が満18歳となるわけではありません。したがって,民法改正前に養育費の取決めをしている場合,養育費の取決めがなされた時点では成年年齢が20歳であったことや,当事者の合理的意思解釈からすれば,これまでどおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになると考えられます。

また,これから養育費を取り決める場合でも,養育費は経済的な自立が期待できない子に対して支払われるものなので,高校卒業後も専門学校や大学に進学する子が多い現状からして,これまでどおり20歳や大学卒業後まで支払義務を負うものと考えられます。もっとも,これから新たに養育費の取り決めを行う場合には,「満20歳に達する日の属する月」や「満22歳に達した後最初に到来する3月まで」などと,支払期間の終期を明確に定めた方がよいでしょう。

 

成年年齢引下げに伴い,もし契約トラブルに巻き込まれてしまった場合は,一度専門家にご相談いただくことをおすすめいたします。