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建物賃貸借契約の敷金の扱いについて

2020.01.24掲載スタッフブログ

令和初の新年を迎えてから、早くも一月が経とうとしています。

 本年も当事務所をよろしくお願いします。

 さて、2020年といえばいよいよ東京オリンピックの年ですが、法律の業界では、民法の大幅な改正がある年でもあります。

 今回の改正は120年ぶりの大改正とも言われており、契約法の基本原則や基本的な時効期間など、民法の根本に関する規定から大きな変更があります。

 今回は、これらの中から身近な話題として、建物賃貸借契約の敷金の扱いに関する事項を取り上げてご紹介したいと思います。

 アパートや賃貸マンションなどの賃貸借契約をするとき、借主が敷金を差し入れることが通常ですが、いままでの民法では、この敷金についての明文規定がありませんでした。そのため、入居に際して借主が支払うお金の何が敷金扱いになるのか、部屋を退去する場合に、敷金がいつ返ってくるのか、いくら返ってくるのかについて、民法上の規定がなく、これまでに裁判になったケースの裁判所の判断例などの積み重ねによって解決が図られていました。

 ですが、現実にトラブルになりやすい事柄についてはやはり民法上の規定があった方がいいという考えもあり、今回の改正では、①何が敷金となるのかの定義の定め、②敷金の返還時期の定め、また③敷金から差し引かれることが多い原状回復の範囲に関する定めが、新たに追加されることになりました。

①敷金の定義について

 改正前は、何が敷金になるのかの明文の定めはなく、実際には「権利金」や「保証金」といった名称を使われることもあり、その名称の違いによるトラブルも発生していました。

 そこで、改正法では、どのような名目・名称であっても、借主の貸主に対する金銭債務を担保する目的で、借主が貸主に交付する金銭のことを「敷金」と呼ぶものと明記されました(改正法622条の2)。

 この借主の貸主に対する金銭債務とは、未払いの賃料のほか、退去時の原状回復にかかる費用も一部も含まれることになります。

②敷金の返還時期について

 退去に際し、貸主が借主に対し、いつ敷金を返還しなければならないかについても改正前には明文の定めがなく、最高裁判所の判例で、借主が建物を退去し、明渡が完了したときとされていました。

 改正法では、敷金の返還時期について、最高裁の判例とほぼ同様に、賃貸借が終了し、貸主が賃貸物の返還を受けたときとする明文規定が置かれました。

③原状回復の範囲について

 また、退去に際して借主が負う原状回復義務(実際にはクリーニング代・修繕費として敷金から差し引かれるものになります)について、これまでは明文の定めがなく、トラブルが多く発生していました。

 そこで、改正法では原状回復の範囲について、「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く」と明文で規定され、このような損耗や経年変化の回復費用は敷金から差し引かれないことが明文で規定されました。

 もっとも、さらに具体的に「何が通常の使用収益による損耗・経年変化にあたるのか」については、現状で国土交通省が作成したガイドラインなどをもとに判断されることになります。具体的には、家具の設置による床やカーペットの凹み等の設置跡や、テレビ・冷蔵庫等の後の壁の黒ずみなどが、通常の使用収益による損耗・経年変化にあたりますが、タバコのヤニ汚れやペットによる柱の傷などは、これにあたらないとされています。

 敷金改正の施行日は4月1日。施行日以降の賃貸借契約について、改正後の規定が適用されることになります。