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「相続法改正のポイント~配偶者の居住権の保護~」

2018.12.06掲載スタッフブログ

1 はじめに
いよいよ相続に関する民法等の規定が,約40年振りに改正されます。今回は,この改正のうち,配偶者の居住権の保護について説明します。

2 配偶者の居住権の保護
相続法の改正により,配偶者が居住建物にそのまま住み続けることができるように,①配偶者短期居住権と②配偶者(長期)居住権という2つの制度が設けられました。

⑴ 配偶者短期居住権
配偶者短期居住権とは,相続開始時(被相続人が死亡した時)に,配偶者が被相続人(死亡した夫又は妻)の建物に無償で居住していた場合に,一定期間,無償でその居住建物を使用できる権利をいいます。
現行制度の下では,配偶者が相続開始時に被相続人の建物に居住していた場合,原則として,被相続人と相続人との間で使用貸借契約が成立していたと推認されます。しかし,その居住建物が第三者に遺贈された場合や,被相続人が反対の意思表示をしていた場合には,使用貸借が推認されないため,配偶者がその建物に住み続けることができない状態になってしまいます。
そこで,配偶者の保護を図るため,今回の改正により,被相続人の意思に関わらず配偶者が一定期間居住できる権利が認められました。
配偶者短期居住権の期間については,
①配偶者が居住建物の遺産分割に関与する場合には,遺産分割が終了するまでの間又は相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの間,
②居住建物が第三者に遺贈された場合や,配偶者が相続放棄した場合には,居住建物の所有者から配偶者短期居住権の消滅の申入れを受けた日から6か月を経過するまでの間
となります。つまり,配偶者は,最低6か月間は居住が保護されることになります。

⑵ 配偶者(長期)居住権
配偶者居住権とは,配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物について,終身又は一定期間,無償でその使用を認める権利をいいます。
以下,具体例を挙げて説明します。A男が死亡し,相続人は,妻B子と子C男の2人,A男の遺産は,自宅(1000万円)と預貯金(2000万円)があるとします。
現行制度の下では,配偶者が居住建物に住み続けるためには,遺産分割で居住建物を相続することが考えられます。この場合,B子とC男の法定相続分は各2分の1(各1500万円)ですので,B子は自宅(1000万円)と500万円の預貯金を,C男は1500万円の預貯金を相続することになります。そうすると,B子は,住む場所は確保できる一方で,500万円の預貯金しか受け取ることができず,生活費がいずれ不足する可能性があり,今後の生活に不安が残ることになります。
しかし,改正法の下では,B子は自宅に住み続けながら,預貯金もある程度受け取ることができるようになります。つまり,例えば,配偶者居住権の価値が500万円だとすると(価値の算定方法はここでは割愛します),B子は,他に1000万円の預貯金を受け取ることができるため,自宅に住み続けながら,ある程度の生活費を確保することができるようになります。他方,C男は,配偶者居住権という負担付きの建物所有権(500万円の価値)と預貯金1000万円を相続することになります。
なお,配偶者(長期)居住権が認められるのは,遺産分割協議や調停において,共同相続人間で配偶者居住権を認める合意ができた場合や,配偶者居住権を遺贈する旨の遺言があった場合など,一定の場合に限られますので,注意が必要です。

3 施行日
以上ご説明しました配偶者の居住権に関する規定は,2020年4月1日より施行される予定です。配偶者居住権は,施行日以後に開始した相続について適用されます。